第13回分子シミュレーション夏の学校
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講義内容

本年度の夏の学校では、分子シミュレーションの分野でご活躍の3人の先生方の講義を予定しています。

講師 古明地勇人 先生
(産業技術総合研究所 計算科学研究部門)
タイトル フラグメント分子軌道法とそのMDへの拡張
内容 フラグメント分子軌道法(FMO法)は、北浦らが開発した電子状態計算法である。FMO法では、分子系をフラグメントに分割して計算してから、系の全エネルギーを再構築する。精度と並列性が良く、巨大分子、特に、生体分子に向いている。 だが、FMOで分子動力学(MD)、つまりFMO-MDをしようとすると、一筋縄ではいかない。下図のように、FMOで力(エネルギー勾配)を計算し、それを使って原子核をMDで動かすだけなのだが、分子構造変化に応じてフラグメントを切り変える必要が出てきて面倒なことも...。でも、溶媒分子中の化学反応などをターゲットにすると、結構、いろんなことが出来そう。 というわけで、FMOとFMO-MDにまつわるもろもろのことを、ざっくばらんに語りたいと思っています。

講師 鳥居肇 先生
(静岡大学 教育学部)
タイトル 凝縮相系の分子内・分子間振動とスペクトルの解析
内容 液相系や生体高分子系など,柔軟な凝縮相系における分子の動きは,分子動力学シミュレーションによって計算することができるが,その妥当性を検証したり,逆にそれを実験結果の解釈に役立てようとするには,観測量との関係付けを行う必要がある。この講義では,広い意味での振動運動(分子内振動のほか,分子の並進・回転自由度から構成される分子間振動を含む)と,関係するスペクトルの解析について述べる。一見異なるメカニズムに共通した性質を整理し,統一的な理解を得ることを目指す。

講師 高橋英明 先生
(大阪大学大学院 基礎工学研究科)
タイトル 多粒子系の量子化学シミュレーションと自由エネルギー計算
内容 溶液や生体系の化学反応を記述するための最も基本的な量はその過程に伴う自由エネルギー変化であり、これを分子論に基づく理論計算によって評価する方法を確立することは、分子シミュレーションや量子化学における重要な課題の一つである。この問題の解決には2つの困難が付随する。一つは多粒子系に対する第一原理計算であり、もう一つは分子シミュレーションによる自由エネルギー計算である。講義ではこれらを主たるテーマとする。まず、電子の密度汎関数法を核とする種々の第一原理計算の方法論を概観し、それらの長短所を議論する。さらに、統計力学に基づく溶液論と量子化学のシミュレーションを結合することによって効率良く化学過程の自由エネルギーを計算する為の方法を紹介する。

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長岡研究室 名古屋大学 大学院情報科学研究科 物質情報論講座