************第33回尾張コンプレックスセミナー*************      題  目: 鎖状系における末端部粒子の活発な運動 Title : Energetic motion of end-particles in chain-type systems  発 表 者:  小西哲郎 Speaker :  Tetsuro Konishi 所  属: 名古屋大学 理学部 物理学教室 R研 Affiliation:Department of Physics, Faculty of Science, Nagoya University 日  時: 10月29日(木)午後2時〜 Date : Th. Oct. 29th, 2:00pm (Almost one hour) 場  所: 情報科学研究科6階616号室 Place : Room 616, Graduate School of Information Science 内  容: Abstract: 質点が鎖状につながった系は、高分子や蛋白質などのさまざまな系、あるいは 人工物をモデル化したものと考えることが出来、その振舞い、特にエネルギー 伝達とエネルギー分配を調べることは重要である。 質点が軽い剛体棒で繋がって平面内を自由に運動出来る場合を考える。 拘束系に対する数値積分法を用いて運動方程式を数値積分した結果、各質点の 運動エネルギーの長時間平均は等しくならず、末端部の粒子で大きな値を取ること がわかった。温度Tの熱平衡状態での近似的な解析計算でも定性的に同じ結果を 得た。このことから、拘束のある鎖状系の熱平衡状態では、末端部粒子の 平均運動エネルギーが大きいと考えられる。なお、この結果はエネルギー 等分配則と矛盾しない。 自然界には厳密な意味での剛体は存在しないので、モデルを変更して質点が 剛体ではなくばね(ポテンシャル)で繋がっている場合を考える。ばね定数が 小さい場合は質点の平均運動エネルギーは等しいが、ばね定数が大きい場合は 有限時間の間、剛体と同様な振舞いが見られた。このことから、鎖状系で末端部粒子 の平均エネルギーが大きくなるという現象は、実際の自然界でも起きている可能性が あると考えられる。 (北大電子研 柳田達雄氏との共同研究) ref. "Energetic motion of end-particles in constrained dynamical systems", Tetsuro Konishi and Tatsuo Yanagita, J. Stat. Mech. (2009) L09001 ***********************************************************