「すぐできる 分子シミュレーション ビギナーズマニュアル」

D5の解答例


Q1.

以下の図で,サンプルデータの計算結果(気相分子系)とD1の演習課題Q1の計算結果(孤立分子系)について,系の温度の時間変化を比較して示します.

気相分子系では,系の温度が設定温度300 Kの近傍で振動しているのに対して,孤立分子系では系の温度が300 Kを下回っています.したがって,熱浴と接していない孤立分子系では,系の温度が不安定になることがわかります.

Q2.

DCE_gas.inファイルの以下のパラメータを変更してMD計算を実行します.

tempi=500,

以下の図で,系の初期温度が300 Kの場合と500 Kの場合について,全エネルギーの時間変化を比較して示します.

系の温度が設定温度300 Kへ収束した後の全エネルギーの値を比較しますと,初期温度が500 Kの場合のほうが大きいことがわかります.系のエネルギーの一部は熱振動として分子内に蓄えられるため,初期温度が大きければ大きいほど分子内運動のポテンシャルエネルギーの値は増加します.したがって,系の初期温度が異なる場合には,運動エネルギーの値が設定温度に対応する値へと収束したとしても,全エネルギーの値には違いがあります.