「すぐできる 分子シミュレーション ビギナーズマニュアル」

D3の解答例


Q1.

インプット(演習課題用)の初期座標DCE_D3Q1.crdを用いてエネルギー最小化計算を実行します.

今回の計算では,48ステップでエネルギー最小化計算が完了します.以下の図で,各繰り返しステップでのポテンシャルエネルギーの推移を25ステップまで示します.

項目D3の図2と比較しますと,エネルギーが収束するまでに必要なステップ数が大きくなることがわかります.初期座標が最小構造の座標から大きくはずれる場合には,エネルギー最小化に必要なステップ数が大きくなる点に注意してください.

Q2.

まず,エネルギー最小化計算の最大ステップ数を100から200へ変更するため,DCE_min.inファイルの以下のパラメータを変更します.

maxcyc = 200,

次に,インプット(演習課題用)の初期座標DCE_D3Q2.crdを用いてエネルギー最小化計算を実行します.

今回の計算では,146ステップでエネルギー最小化計算が完了します.以下の図で,各繰り返しステップでのポテンシャルエネルギーの推移を50ステップまで示します.

項目D3の具体例と演習課題D3. Q1のエネルギー最小化計算では,エネルギー最小化計算後のポテンシャルエネルギーが6.2169 kcal/molとなり,分子力学計算の精度で最適化計算を正しく行うことができました.しかしながら,今回の計算ではエネルギー最小化計算後のポテンシャルエネルギーが173.57 kcal/molとなり,最適化計算を正しく行うことができません.エネルギー最小化計算後の1,2-ジクロロエタンの構造をVMDで確認してみますと,1,2-ジクロロエタンの構造が平面型になっています.初期構造の選び方によっては,最適化計算を正しく行えない場合がありますので注意してください.