************第26回尾張コンプレックスセミナー************* 題目: 分子動力学によるプラズマ-壁相互作用の研究 発表者: 伊藤篤史 名古屋大学大学院 理学研究科 博士後期課程二年 Σt(複雑性科学理論)研究室 日時: 6月5日(火)午後3時00分~ 場所: 情報科学研究科6階616号室 内容: 私は核融合研究所にて研究活動に従事している。核融合プラズマ閉じ込め実験におい て、一部の閉じ込め切れない水素プラズマが装置壁面のダイバーターと呼ばれる場所に 衝突する。装置の損傷を防ぐためにダイバーターはグラファイト材で覆われているが、 水素プラズマによるスパッタリングにより炭化水素分子が発生する原因となる。炭化水 素分子はプラズマ閉じ込めを妨害する不純物となるため、その発生を抑制することが望 まれる。しかしながら、炭化水素分子の発生メカニズムの詳細は殆ど明らかになってい ない。このプラズマ-壁相互作用問題の解決に向けて、我々は改良型のBrennerポテンシ ャルを使用した古典分子動力学による研究を行っている。本公演では、単一水素原子と グラフェンの素反応から、プラズマ-壁相互作用を模したマクロな現象までを階層を追 いながら紹介する。ミクロな階層の物理機構がマクロな階層の現象を説明する一方で、 マクロになって初めて現れる物理機構の存在に気づく。また古典力学系を解析する新し い手段として粒子間エネルギー流を導入し、多体力ポテンシャルのある場合の問題点の 解決策と幾つかの使用例を紹介する。 ***********************************************************